美田園住まう人々―。今からさかのぼること2年前、開発が始まったばかりの風景からはまだ想像がつかなかった言葉を今、口にすることができます。
その素敵に成長し続けるまちに住まう方々、関わる方々からの生の声をお届けします。
これからも飼育、繁殖を楽しみながらここ美田園に一つでも多くのタナゴの郷づくりを目指していきます。 淡水魚・タナゴ研究家 三上 清様
三上さんがゼロから作り上げたタナゴの郷に生息するタナゴ

美田園に住まう人々ー今回ご紹介するのは、淡水魚・タナゴの研究家、三上清さんです。東京生まれで東京育ちの三上さんは、15年前にタナゴの美しさと、自然の中に生きる生態系に魅せられ、ご自身の定年を期に奥様のふるさとであるここ、名取市に移り住みました。

現在、日本では16種類が確認されているタナゴ。「その16種類が各々に生態系も違うことも興味を惹かれるところですが、何よりも産卵期の美しさに魅了されます。」と話す三上さんは、ご自身でゼロから作り上げた2つの池「タナゴの郷」に6種類のナゴを飼育しています。タナゴの生息には、一定以上の水質が保たれていることが一番ですが、その他にも、タナゴが卵を生む二枚貝や、その二枚貝の幼生の寄主となるヨシノボリ、そしてそのヨシノボリが卵を産むための石など、自然の摂理に従った環境がないといけないことから、自然環境の中からは次第に数が減少しています。

そのタナゴが生息できる自然環境をご自身の力でつくり、そして飼育している三上さんは、タナゴの人工授精にも挑戦するなど、積極的にタナゴの増殖に取り組んできました。「昔はたくさんいたタナゴがまた普通に池や川で見れるようになる。そんな懐かしく、今の子供達がなかなか経験できない豊かな環境を守りたいんです。」三上さんの情熱は、この自然の豊かさを守っていくことと、次世代を担う子供達へのメッセージで支えられているのかもしれません。

 
池に咲く浅沙 (あさざ)には浄化作用も
タナゴの繁殖には欠かせないドブガイ
 

そんな三上さんにある相談が舞い込みます。それは、当時開発前に発足していた、美田園のまちづくりについて、地元の人々が様々な意見を出しあう、まちづくり検討委員会からの、調整池へのタナゴ放流です。以前より交流があり、三上さんの活動をよくご理解し、三上さんの著書「タナゴあれこれ」にも筆を寄せている下増田公民館長(当時)の鈴木さんが立案し三上さんへのご協力を依頼したのです。

理解者からの依頼を快く承諾した三上さんは、ご自身の経験、知識を活用し美田園調整池の開発のため、「ふとんかご」を利用した深場等を築造。そこに生息する魚たちの越冬や鳥被害から身をまもる場所として三上さんの発案で開発されています。

タナゴが放流される美田園東側のビオトープ調整池

来年の春先には、完成した調整池へ自らが育てたタナゴを放流する三上さん。「タナゴのおかげで、色々な人と出会い、また輪を広げることができました。この調整池も、タナゴが生息していることで、ご家族や子供達の触れあいが広がる場所になってくれたらいいなと思っています。」と話す三上さんは、地元の小学生などが参加できる、放流式も企画中です。

現在は、下増田公民館にも三上さんの水槽が展示してあり、タナゴをはじめとした淡水魚をみることができまが、そのタナゴたちが、調整池で元気に育ち、美田園に住まう人々の心の豊かさとして反映していくことを、私たちも頭に描いています。

タナゴの郷で今日も飼育に取り組む三上さん